口臭が気になったら

口臭の原因について

口臭が気になる人、多いと思います。

自分では口のにおいは感じにくいですが、ご家族に指摘されることも多いと思います。

子供や恋人に「口臭い」といわれたらショックですよね。

口臭の原因について、まとめたいと思います。

口臭は、口の中が原因と考えやすいですが、内科的な原因も隠れているかもしれません。

・口臭の種類

口から出るにおい(口臭)には大きくわけて4つの種類があります。

①生理的な口臭

誰にでもある口のにおいで、起床した直後、空腹時、緊張時は特に口臭が強くなります。これらの原因は唾液の分泌量が減少するためで、口の中の細菌が増殖し、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物がたくさん作られるためです。しかし、歯みがきをすることで細菌や硫黄化合物を減少させることができるので、歯磨き後に口臭は減少します。また、食事や、水分を積極的に補給するようにすることで唾液量が増加すれば口臭は弱まります。

また、女性の生理・妊娠時などホルモンバランス変化に伴う口臭、乳幼児期、学童期、思春期、成人期、老齢期、それぞれの年代固有の臭い、民族的な口臭もあります。

・生理的口臭の特徴

病的口臭ではないので常に周囲の人たちを不快にするわけではない。口臭は、あったりなかったりする。病的口臭と異なり、本人も気が付かない事がある。しかし、口臭が気になり不安になると、より感じるようになる。

②飲食物・嗜好品による口臭

ネギ、ニラ、にんにくなどのにおいのきつい食べ物を食べたあとの口臭。口腔内に、におい物質の食物繊維(歯にはさまったり)が残っていることが多いです。さらに、体内で消化吸収された後に、におい物質が血液により運ばれて、肺からの呼気となり息がにおうことで口臭となります。アルコールも揮発性のアルコール成分のせいで臭く感じられます。タバコの臭いはタールやニコチンが原因です。栄養ドリンクの中にもにんにくエキス(アリシン)、ビタミンB1が含まれており、にんにく臭がすることがあります。この口臭は、自分でも原因がはっきりわかっていることが多いです。

これらの、においの強い食べ物による口臭は、時間の経過とともに臭いも無くなります。歯磨きやうがい、タブレットなどを口にすることである程度和らげることができます。

③心理的口臭

自分自身で強い臭いがあると思い込む人がいます。口臭恐怖症とも呼ばれます。口臭チェッカーなどで客観的な臭いの数値やカウンセリングが有効です。

④病的口臭

生理的口臭や飲食物・嗜好品による口臭ではなく、なんらかの病的な原因による口臭です。

病気の原因を治療することで口臭を少なくできたり、治すことができますので診断を受けてください。

病的口臭の90%以上は口の中に原因があるとわれていますので、まずは歯科クリニックを受診してください。口の中の原因としては、歯周病、むし歯、歯垢、歯石、舌苔、唾液の減少、入れ歯の清掃不良、口腔癌などがあります。

気を付けなくてはいけないのは、歯科以外の原因がある場合です。

原因:副鼻腔炎・扁桃炎・咽頭膿瘍・咽頭腫瘍・肺がん・食道がん・胃がん・肝機能の低下・糖尿病・便秘・ピロリ菌 など

・副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻や鼻の穴の周りの複数ある空洞(副鼻腔)の中の粘膜が「炎症」を起こして腫れた状態です。風邪や花粉症などのアレルギーによって鼻の中で炎症が起きると、鼻粘膜が腫れ、粘り気のある鼻水が出てきます。この腫れや鼻水によって、副鼻腔と鼻の間の自然口がふさがってしまい、副鼻腔から分泌物や異物を排泄できなくなり、鼻水や膿が副鼻腔に溜まります。こうして起こるのが副鼻腔炎です。「蓄膿症」と呼ばれることもあります。確定診断にはCT検査が必要です。

・副鼻腔炎の症状

鼻から黄色や緑色の膿が出る

頭痛

顔面の圧迫や痛み

鼻づまり

嗅覚異常

口臭

痰を伴う咳

・扁桃炎、咽頭膿瘍、咽頭腫瘍

扁桃炎や咽頭膿瘍はのどの痛みを伴いますので耳鼻科や内科を受診し、治療を受けられると思います。のどにできる癌である咽頭癌が進行すると口臭の変化を伴うこともあります。

 耳鼻科咽喉科や胃カメラで病気を見つけることができます。

・肺がん、食道がん、胃がん

気道に進行したがんがあるとタンパクの壊死による臭いが呼気内に出て口臭となります。また、食道、胃などの上部消化管に進行した癌や潰瘍などがあるときも、タンパクの壊死による口臭が出る可能性があります。

胸部CT検査胃カメラで病気を見つけることができます。

・肝機能の低下

肝臓はヒトでは最も大きな臓器で、栄養素を分解、合成して身体で利用できるようにする機能(代謝機能)、有害物質を無毒化して体外に出す作用(解毒作用)、脂肪の消化、吸収を助ける作用(消化作用)があります。たんぱく質が代謝されるときに、アンモニアが発生しますが、肝臓はアンモニアを尿素に変えて、尿として体の外に出します。しかし、肝硬変や劇症肝炎などで肝臓の機能低下が進むと、アンモニアを処理する能力が低下するため、血液中のアンモニア濃度が高くなり、肺から呼気中にアンモニアが出るため、初期の段階では、下水やカビのような口臭があり、肝機能低下が進むと尿臭のようなツンとした口臭(アンモニア臭)となります。肝臓の機能が低下するほど、口臭が強くなります

アンモニア臭がするほどの進行した肝硬変や劇症肝炎の場合、肝性脳症と呼ばれる、意識障害を起こすことがあります。アルコール多飲の方は、知らずに肝硬変に進行している可能性がありますので注意が必要です。

 血液検査で肝機能障害を見つけることができます。

・糖尿病

重度の糖尿病になると、インスリンの分泌不全により糖をエネルギーに変えられないため、脂肪を分解してエネルギーにします。その脂肪の分解のためには「ケトン体」という物質が必要になります。このケトン体の主成分である「アセトン」には、独特の酸っぱい臭いがあり、これが糖尿病の口臭の原因となります。このアセトン臭の口臭は、ダイエットによる無理な食事の制限や、偏食、ストレス、朝食抜きなどによって、体内にブドウ糖が不足したときにも発生する可能性があります。

また、糖尿病になると唾液の量が減り、ドライマウスになります。ドライマウスになると口腔の細菌が増え、虫歯や歯周病になりやすくなり、結果として口臭が強くなります。また、糖尿病が悪化すると歯周病も悪化し、その歯周病が悪化すると糖尿病も悪化するといわれています。

 糖尿病は血液検査で見つけることができます。

・便秘

「便秘になると口が臭くなる」と聞くと、驚く人もいるかもしれませんが、慢性の便秘が口臭の原因のひとつです。便秘で大腸の中に長時間停滞した便から生じた腐敗物質が腸の壁から血液の中に溶けて全身をめぐり、呼吸をするときに肺から息として出されて臭いを発します。これが便秘による口臭のメカニズムです。

1:排泄物が腸に長くとどまると腐敗物質が発生する

便秘になると腸の中に排泄物が溜まっていきます。胃で消化された食べ物は小腸で栄養を吸収されて大腸に送られ、その食べ物の残りかすが大腸内で善玉菌や悪玉菌によって分解され排泄物となります。本来は体の外に出さなければならない排泄物が腸の中に長い間とどまると、腸内のタンパク質とアミノ酸が腐敗して悪玉菌が増加してしまいます。その結果便が腐敗すると、腐敗臭をともなった有害物質が発生します。腸内に悪玉菌が多いと分解のときに生じるガス(腐敗物質)の成分中に、「インドール」や「スカトール」が多くなり臭くなります。また、水分は大腸で吸収されていきますので、排泄物が大腸内で固まっていき、ますます排泄が困難になり長く停滞することになります。

2:腸内の腐敗物質が血液を通して全身をめぐる

腸内に生じた臭いの元になるガスは、本来は排便と一緒におならとして体の外に出ていきます。しかし、便秘になると排泄物が腸内にとどまり、臭いガスも出すことができなくなります。この腐敗物質は水に溶けやすい性質があり、腸の中で水分に溶け込みます。大腸の壁から水分として体の中に吸収されて、血液の中に溶け出して全身に回るようになります。その一部は肝臓で分解されますが、分解されなかったものはそのまま血流に乗って皮膚や肺など、身体中へと運ばれます。

3:腐敗物質が肺へ運ばれて息から臭いが出る

血液に取り込まれた腐敗物質は、血液が肺まで運ばれると、息として口から外に漏れ出ていきます。そこで、吐く息に「インドール」や「スカトール」が混ざって便秘による口臭が生じます。便秘で起こる口臭は、臭いも便に近いものになることがあります。

大腸癌による便秘の可能性の否定や、宿便の解消に大腸内視鏡検査が有効です。

便秘の治療薬は、多くの種類が保険で使えるようになっています。お体にあった適切な便秘薬を提案します。

内視鏡室

・ピロリ菌

胃癌や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となるピロリ菌です。胃の中にいるピロリ菌は自分を守るために、ウレアーゼという酵素を分泌してアンモニアによるバリアを作り出しています。胃の中では食べ物の消化を助ける胃酸が分泌されていますが、アンモニアのバリアが胃酸を中和し、ピロリ菌が生存できる環境を作っています。その時に発生したアンモニアが胃の中で充満すると、血液の中に取り込まれて、全身へと運ばれていきます。その血液が肺まで運ばれてくると、呼吸を通じて口から息として漏れでています。これがピロリ菌による口臭です。また、ピロリ菌のよって胃の慢性炎症を引き起こし、慢性胃炎や胃潰瘍になると、胃の働きが低下して消化不良を引きおこします。消化不良の食べ物は、体内で発酵し、硫化水素を発生します。硫化水素は卵が腐ったような臭いです。胃の中に充満した硫化水素は、アンモニアと同じく、血液を通じて肺に運ばれて、口から息として漏れ出ています。このようにして、ピロリ菌は感染して胃の調子がおかしくなると「尿のような臭い」「卵が腐った臭い」が口から発せられることがあります。

ピロリ菌は検査をして、除菌をすることができます。

胃癌予防のためにも、一度は胃内視鏡検査、ピロリ菌の検査をしましょう。

口臭の原因は、口の中以外にある可能性があります。

歯科受診後も口臭が気になる方は二宮医院までご相談ください。