プラセンタ注射からマイヤーズカクテル点滴へ

更年期障害に対して保険適応のあるプラセンタ(メルスモン)注射を受けられている方にはショックなニュースが先月入ってきました。メルスモンを製造しているメルスモン製薬から下記のお知らせ(HPより引用)です。

弊社(メルスモン製薬)が製造販売する、特定生物由来製品・処方箋薬「メルスモン」(以下、本製品)において、下記の通り出荷停止とさせていただきます。

※出荷停止日:2023 年 2 月 24 日(金)

【出荷停止の理由】

メルスモンは、問診、感染症関連のスクリーニング検査を行い適合した提供者からの胎盤を受け入れ、

さらにウイルス検査を実施した安全なヒト胎盤を原料として製造しております。このたび、このスクリ

ーニング検査法が製造販売承認書に一部正確に反映されていないことを確認しましたので、弊社は、

速やかに製造販売承認書の変更手続きをさせていただきます。その結果、弊社製品在庫が近々に消尽

予定でございます。つきましては、製造販売承認書の変更手続き終了まで約 1 年の期間を要するため、

当面の間、弊社からの出荷を停止させていただきます。出荷再開時期については詳細判明次第、改めて

ご案内いたします。なお、製品の品質、安全性には影響はございません

 当院でもメルスモン注射で更年期障害の治療を行い、調子がよく続けている方が何人も見えますが、上記をお伝えするのは心苦しかったです。せっかく、メルスモンで調子がよかったのに、今後1年間注射ができなくなったら、どうなってしまうのだろうと心配されている方が多いのが現状です。

更年期障害の治療には、保険適応として漢方薬、ホルモン治療があります。ただ、メルスモン注射を打たれている方は副作用が少なく、他の副次的効果も期待されて継続している方が多いのではないでしょうか。

そこで、二宮医院としては、これまでメルスモン注射を使用されていた方に、マイヤーズカクテル点滴をおすすめします。当院では、点滴療法研究会の推奨プロトコールで点滴を行っています。

マイヤーズカクテル点滴とは?

概要

 マイヤーズカクテル点滴は、日本ではあまり知られていませんが、アメリカの代替統合医療クリニックで定番の点滴療法となっています。インフルエンザ、急性上気道炎、慢性疲労症候群、更年期障害、偏頭痛、喘息、アレルギー性鼻炎、うつ病、アスリートの運動能力向上など多くの疾患に有効な点滴療法といわれています。マイヤーズカクテルの基本はマグネシウム、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCといった人間の体の中に存在している栄養素だけを配合しています。約30分で点滴静注することでビタミンやミネラルの血中濃度を上昇させますので、食事やサプリメントに比べ薬理学的な効果が期待できます。

マイヤーズカクテルの歴史

 30年以上に渡り喘息や、慢性疲労、うつ病などをビタミンやミネラルの点滴で治療することで有名だった米国メリーランド州のマイヤーズ先生が考案したことからその名がつけられています。1984年にマイヤーズ先生が亡くなり、クリニックは閉院し、多くの患者が行き場を失いました。しかし後にペンシルバニア州のアラン・ゲイビー先生(Baster大学栄養療法学元教授、アメリカホリスティック医学協会元会長)が、マイヤーズ医師の点滴を現代医学のエビデンスを元に処方を再現しました。ゲイビー先生により2002年にAlternative Medical Review誌にマイヤーズカクテルとして紹介され、現在マイヤーズカクテルは統合医療や自然療法の標準的な点滴療法の一つとなっています。

マイヤーズカクテル点滴に含まれる成分

・ビタミンC Vitamin C

 ビタミンCは、水溶性ビタミンの一つです。ヒトは合成に必要な酵素を持っていないためビタミンCを合成できません。ビタミンCは、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるとその必要量が増加します。また、喫煙によってもビタミンCの要求量が高まります。ビタミンCは、骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須の化合物です。ビタミンC には毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きがあるほか、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用や、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める働きがあります。ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成されないために、血管がもろくなり出血を起こします。不足の症状としては、いらいらする、顔色が悪い、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難などがあります。最近はビタミンCの抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止にビタミンCが有効であることが期待されています。

当院では高濃度ビタミンC点滴もお受けいただけます。二宮医院の高濃度ビタミンC点滴はこちら

  

・ビタミンB群 Vitamin B

 ビタミンB群は糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与しています。皮膚、髪、爪、粘膜などの細胞の再生、健康維持に関与しています。ビタミンB群が不足すると口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎などを起こします。

 

・カルシウム Ca

 カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などに関与しています。カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなり不足状態が長期間続くと、骨密度の上昇が妨げられて丈夫な骨が形成できなくなり、高齢期、特に閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすくなります。また、神経や筋肉の興奮が高まり、筋肉の痙攣が起こります。

  

・マグネシウム Mg

 マグネシウムは補酵素としてまたは活性中心として300種類以上の酵素の働きを助けていています。エネルギー産生機構に深く関わっており、栄養素の合成・分解過程のほか、遺伝情報の発現や神経伝達などにも関与しています。また、カルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、血小板の凝集を抑え血栓を作りにくくしたりする作用もあります。近年、長期的なマグネシウムの不足が、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性が示唆されてます。

効果が期待できる疾患・症状

新陳代謝の向上  疲労回復  肌荒れの改善、美肌効果 血管拡張による血圧の低下、血⾏改善 免疫力の向上 

気管支喘息 偏頭痛 全身倦怠・疲労 慢性疲労症候群 こむら返り
急性上気道炎 慢性副鼻腔炎 アレルギー性鼻炎 慢性蕁麻疹 耳鳴り 更年期障害

マイヤーズカクテルによる副作用

 マグネシウムあるいはカルシウムによって熱感を感じることがあります。長年にわたりマイヤーズカクテル点滴に関する様々な臨床試験が諸外国において行われていますが、その中で治療を中止せざるを得ないような副反応の報告はありません。

マイヤーズカクテル点滴は自費点滴となります。二宮医院のマイヤーズカクテル点滴はこちら