子宮頸がん予防ワクチン

先日、子宮頸がんワクチンの定期接種に中学生が受診してくれました。お母さんと一緒に、子宮頸がんについて勉強理解する良い機会になってくれたと思います。

HPVワクチンは、定期接種のワクチンです。(当院では、ガーダシルを採用しています。)

小学校6年生~高校1年生相当の女子は公費(無料)で接種することができます。

子宮頸がんは、HPVワクチンを接種することでのがん予防効果が明らかになっています。

子宮頸がんは、子宮の入口部分にできるがんで、20歳代後半から発症が多くなります。日本では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんと診断され、約2800人が亡くなっています。先進国で子宮頸がんが増加しているのは日本だけです。これは、日本の子宮頸がんワクチンの接種率の低さ(1%未満)が影響していると考えられています。

子宮頸がんの発症原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウィルスが性交渉によって感染することです。子宮頸がんの原因となるHPVの代表は16型と18型です。20~30歳代で発見される子宮頸がんの80~90%は、この16型と18型が原因です。正常細胞に高リスク型のHPVが感染すると数年かけてがん細胞に進行することがあります。

性交渉前にHPVワクチンを接種することが重要ですが、ワクチンで100%予防できるわけではないので子宮がん検診も定期的に受けることが重要です。

しかし、子宮頸がんワクチンを接種することで10-30歳の女性は、接種しなければ発癌していた人の3人に2人は癌にならずに済むという結果が海外から発表されています。

*定期接種(小学校6年生~高校1年生相当)で接種できるHPVワクチン*

ガーダシルは、6,11,16,18型の4つの型のHPV感染を予防するワクチンです。

ガーダシルは3回の接種を下記にスケジュールで行います。

①初回接種

②初回接種2か月後

③初回接種6か月後

投与方法:筋肉注射

ガーダシルは新型コロナワクチンと同じ、筋肉注射です。肩のあたりの筋肉に注射をします。

接種した後に、注射部位の腫れや痛みが8割の頻度で多くみられます。新型コロナワクチンも若い人には副反応が多いですね。これは、体のなかでウィルス感染を防御する仕組み(免疫)が活発なためです。

また、接種後にめまいやふらつき、失神など(血管迷走神経反射)が起きることが報告されていますので、接種後は院内で30分ほど座って経過を見ていただきます。その間、子宮頸がん、ワクチンについての動画を見ていただきます。新型コロナワクチンでも若い女性は、この血管迷走神経反射が起きますので、個別のワクチンの影響ではなく、注射という行為の影響と考えられます。

ワクチン接種に迷っておられるお母さんがおられる場合は、相談のみの受診でも大丈夫です。

公費接種の時期が過ぎても、任意接種(自費)でシルガードという9価のワクチンを接種できますが、自費になってしまいワクチン自体が高額なので、1回27000円×3回となります。

公費接種可能な期間に、お子さまの将来のがん予防のメリットについてお考えいただけたらと思います。

また、2020年12月に肛門がんや尖圭コンジローマの予防を目的として9歳以上の男性にも4価ワクチン(ガーダシル®)を接種できるようになりました。現在、男性への接種は任意接種(自費)ですが、海外では男性に対して定期接種を行なっている国もあります。

子宮頸がんの予防には、ワクチンの接種と定期的な検診が重要です。